「遺伝子組換えでない」という表示を意識して選んでいるという人は多いだろう。その表示の基準が、2023年から変わることを知っているだろうか。それによって、私たちが安心できる食品を選ぶ権利が失われていく。「お得」に踊らされていると、食卓には危険ばかりが並ぶかもしれない──。
以前、本誌・女性セブンで、「肥育ホルモン牛肉」の危険について詳報した(マネーポストWEBにも掲載)。米国で育てられ、EUでは全面輸入禁止になっている発がん性リスクのある牛肉が、日本では2020年1月から値下げして販売されるようになったという内容だ。
そこには、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)を離脱し、関税率が他国より高い米国に配慮した日本が、関税率を引き下げる「日米貿易協定」を発行したという背景がある。
残念なことに、世界中で禁じられながらも、日本人だけが食べている恐怖の食材は、肥育ホルモン牛肉以外にもある。「遺伝子組換え食品」もその1つだ。
日本に遺伝子組換えの農作物が初めて輸入されたのは、1996年のこと。現在は、とうもろこし、大豆、西洋菜種、じゃがいも、テンサイ、パパイヤ、ワタ、アルファルファの8種類が輸入されている。解禁当初は、その安全性をめぐって世間を騒がせたが、近年は批判の声があまり聞こえなくなった。しかし、決してそれは、遺伝子組換え食品が減ったからではない。食政策センタービジョン21主宰の安田節子さんは強調する。
「昨年10月に、遺伝子組換え食品の第2世代と言える『ゲノム編集食品』が解禁されたので、関心がそちらに向いているだけです。日本は一貫して米国の要望に忠実に応じ、遺伝子組換えの作物を次々に認可しています」
「ゲノム編集食品」とは作物が本来持っている遺伝子を“破壊する”技術で、安全性が定まっていないことから、EUでは規制されている。日本にはまだ出回っていないが、米国にならって、安全性の審査や表示の義務を行わないことが決定している。
一方、遺伝子を“入れる”遺伝子組換え食品は安全性審査や表示が義務付けられている。それは、人体に害を及ぼす危険がいくつもの研究で明らかになっているからだ。