家計

遺伝子組換え食品表示の厳格化で「食の安全」が脅かされる

 しかし、2023年4月からは、表示方法が「厳格化」される。遺伝子組換えの混入率が0%でなければ、「遺伝子組換えでない」という任意表示が認められなくなるのだ。一見、安心できそうに思えるが、実態は異なる。安田さんが話す。

「これまで、遺伝子組換えの大豆が5%未満のしょうゆには『遺伝子組換えでない』と表示ができました。しかし、厳格化によって、国産大豆100%以外の商品から、その表示が消えてしまう。すると、遺伝子組換えの大豆を5%未満しか使っていないしょうゆも、100%近く使っているしょうゆも、等しく“遺伝子組換え”のしょうゆとなるため、消費者は混入リスクの少ない商品を選ぶことが不可能になります。

 さらに、表示を差別化できなくなったメーカーは、分別輸入をやめ、遺伝子組換えが大半の大豆を使わざるを得なくなるでしょう。なぜなら、価格の高い混入率5%未満の大豆を使う意味がなくなるからです」

 日本がこれほど遺伝子組換えの作物を輸入している理由は、米国との食文化の違いも大きい。輸入されている8種類の作物を見ると、米国で盛んに作られている「小麦」が入っていないことに気づく。なぜなら、小麦はパンやパスタ、ビールなどの主原料であり、“人間が直接、口にする作物”と捉えられているため、遺伝子組換えの小麦は生産されていないからだ。

「米国穀物協会の幹部は過去に、“大豆やとうもろこしは家畜の餌だから”と発言しています。つまり、米国では、家畜に食べさせる程度にしか遺伝子組換え作物の安全が保障できないということです」(鈴木さん)

 だからといって、米国産の小麦が安全なわけではない。残留農薬の危険がある。一般社団法人農民連食品分析センターの調査によると、国産小麦を使った製品を除いて、国内で一般的に市販されている多くの食パンから、除草剤の成分である「グリホサート」が検出されたという。

「グリホサートに発がん性があると、国際がん研究機関(IARC)が2015年に警告しています。グリホサートが入った除草剤は、日本が輸入している遺伝子組換え作物に多用されています。遺伝子組換え作物には、二重の危険があるということです」(安田さん)

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