投資情報会社・フィスコが3月23日~3月27日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大による金融市場の混迷は続いており、基本的にはドルが選好される地合いは変わらないとみられる。米連邦準備制度理事会(FRB)は3月15日、緊急の連邦公開市場委員会(FOMC)を開催し、政策金利を100bp引き下げ、実質ゼロ金利政策に踏み切った。ただ、市場は景気の先行きに不安を強めており、リスク資産を整理する動きが加速している。
また、ウイルス感染被害の中心はアジアから欧州に移り、ユーロ圏諸国への経済的な打撃を警戒したリスク回避的な円買いが観測されており、ユーロやポンドなど欧州通貨を押し下げている。こうしたなか、米トランプ政権は新型コロナウイルスの経済への悪影響を抑えようと、1兆ドルにのぼる経済対策を打ち出した。経営が悪化している企業への資金援助のほか納税の猶予、国民への直接的な現金給付などを盛り込む方針。
また、米連邦準備制度理事会(FRB)はコマーシャルペーパー(CP)市場を通じた企業の借入れ支援を決定。一方、トランプ政権の経済対策は歳出拡大回避の観点から議会との調整の難航も予想され、期待通りの対策にはならない可能性もあるため、株式などのリスク資産の換金売り(対象は株式、債券、一部商品など)は継続する可能性がある。アジア、欧州諸国などでドル需要は依然として強いことから、ドルは底堅い動きが続くとみられる。
【米・10-12月期国内総生産(GDP)確報値】(26日発表予定)
26日発表の米10-12月期GDP確定値は、前期比年率+2.1%程度と予想されている。新型コロナウイルスの感染拡大の影響が全くない時点で経済指標だが、市場予想を下回った場合、リスク回避的なドル売りがやや強まる可能性がある。
【米・2月PCEコア価格指数】(27日発表予定)
27日発表の米2月個人消費支出(PCE)のコアデフレータは、新型コロナウイルスの影響が多少出ることから、伸び率は鈍化する可能性がある。ただし、消費意欲は減退しつつあり、1月実績を下回った場合でもドル売り材料にはならないとみられる。