そうした小出しの対策より、与野党から要求が高まっているのが「消費税減税」だ。
日本維新の会の柴田巧・参院議員は「消費税率8%に減税」を提案し、国民民主党や共産党などの野党は「5%」を主張、自民党でも若手議員が参加する「日本の未来を考える勉強会」が消費税減税を含む30兆円の景気対策の提言書を政府と自民党執行部に提出した。同勉強会会長の安藤裕・衆院議員が語る。
「我々が一番心配しているのは、コロナ・ショックによる経済危機によって、新型コロナ感染による死者を超える自殺者が出かねないことです。リーマン・ショックは金融危機でしたが、今回は人の動きが止まって工場は操業停止、店には客が来ないなど実体経済に直接影響が出ている。経営基盤が弱い中小企業はひとたまりもなく、このままでは倒産が続出するでしょう。そうした事態を防ぐ効果的な方法は消費税減税です」
安藤氏らの危惧は大げさではない。中国の新型コロナでの死者は約3000人。日本で中国並みの大流行になったとすれば、人口比でみると死者が300人に達する可能性は考えておかなければならない。
一方、リーマン・ショック翌年には「失業」「生活苦」を動機とする自殺者は少なくとも2802人(警察庁自殺統計)にのぼった。コロナ・ショックの経済への影響が深刻化すれば、日本での感染による死者の10倍の自殺者が出ても不思議ではない。
※週刊ポスト2020年4月3日号