在宅勤務など“出社しない働き方”が広がるなか、サラリーマン生活と切っても切れない「飲みニケーション」を巡る状況も、激変している。人事ジャーナリストの溝上憲文氏がいう。
「企業によっては大人数で集まる宴会・集会の禁止、歓送迎会の自粛といった通達を出しています。結果、花見の場所取りに駆り出されるといったことがなくなり、若手は歓迎していると聞きます」
ある上場企業の総務部長は3月に入り、「部や課単位での飲み会は禁止。接待の会食経費は原則、認めなくなりました」と話す。
「役職者もゴルフ接待はOKだが、“19番ホール”はNG。個人的な飲み会までは禁止できないから、『換気の悪い、狭い店は避けるように』と注意しています」
大手出版社の中堅幹部も「人と会うのが仕事なのに、会合は原則NG。どうしても必要ならOKということで、みんな“必要”のロジックを捻り出そうと必死です」と嘆く。
社員が外で飲み歩かないよう、“社内飲み”を推奨する動きもある。流通企業の営業マンの話。
「各部の冷蔵庫に缶ビールが置かれるようになった。居酒屋などには寄らず、休憩スペースで飲んで帰れということです。ただ、小遣いの少ないおじさんばかり集まり、愚痴を言い合うたまり場になっていますが……」
新たに登場したのが、「オンライン飲み会」だ。都内のAI関連企業Quantum Coreでは在宅勤務の終業後、社員が自宅のパソコンの前で缶ビールなどを持ち出し、互いの姿を画面越しに見ながらの飲み会を開催している。代表取締役CEOの秋吉信吾氏がいう。