家計

存在感増す米国産乳製品に潜む「遺伝子組換えホルモン」のリスク

 解明されていないとはいえ、人体に危険性があるものがなぜアメリカで使われているのだろうか。

「γBGHは、枯葉剤で有名なバイオ化学メーカーのモンサント社が開発したもの。1994年にアメリカで認可されました。発がん性の疑いがあるほか、10才以下の幼い子供に月経や乳房がふくらむといった異常な性発育が起きるなどして当初から安全性が疑問視されていましたが、モンサント社が日本の厚労省にあたるアメリカ食品医薬品局(FDA)を抱き込み、“γBGHは安全だ”という主張を押し通したのです」(鈴木さん・以下同)

 行政機関の幹部に元関係者が入り込み、出身会社への利益をもたらそうとする「回転ドア人事」が行われたという。

「私は認可当時のアメリカにいました。激しい反対運動が起きたのを記憶しています。大手スーパーも『危ない牛乳は売らない』と反発したものの、商品パッケージへの表示を義務化できず、運動は鎮静化しました」

 ホルモン剤を使っていないことを示す「γBST/γBGHフリー」の表示は認められたが、FDAから“物言い”がついた。

「FDAの指示で、ホルモン剤フリーの表記をしたければ、『γBST/γBGHを使用しても安全性は変わらない』ということを付記しなければならなくなったのです」

 モンサント社が商品の表示を操作したために一時は売り場に溶け込んでいった“ホルモン牛乳”だが、1996年、1998年に相次いで『サイエンス』や『ランセット』などの権威ある医学誌に「γBGH/γBST入りの牛乳はIGF-1の濃度が高まる。IGF-1の血中濃度が高い人は乳がんの発症率が7倍、前立腺がんの発症率が4倍になる」との論文が掲載され、反対運動が再燃した。

「アメリカの消費者が再び立ち上がり、ダノンやウォルマート、スターバックスコーヒーなどの大手企業が、『γBGH/γBST使用牛乳は扱わない』という姿勢を打ち出したのです。これは消費者が声を上げた結果だといえます」

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