「原産国名表記」も安心できない
「日本は国内でのホルモン剤の使用は認可されていないものの、輸入されてくる製品についてはザル。すでにどんどんアメリカからの“ホルモン入り乳製品”が入ってきているのが現状です」
別掲の表に各国が定める残留ホルモン基準値をまとめたが、いかに日本がゆるいかがわかる。日本だけがアメリカの“お得意さま”というわけだ。
実際に私たちが口にする商品はどうか。ダノンは日本市場でもアメリカ産乳原料不使用をうたい、スターバックスは一部のライセンス店舗を除くすべての直営店でホルモン入り乳原料不使用。一方、西友を運営するウォルマートが販売するプライベートブランドの乳製品にはアメリカ産のものも散見される。
そのほか、国内の大手乳製品メーカーの商品はどうなのか。女性セブンがアンケート取材を行ったところ、多くの企業が主要な乳原料は国産としつつも、コストなどの面でアメリカ産を使う場合もあるとしている。使用する乳原料にγBGHが残留しているかどうかを調べるには莫大な費用がかかるうえ、表示義務や違法性がないため、メーカーに検査の義務はない。たとえ検査していたとしても、公表することはないだろう。
では、何をどう選んで買えば安全な乳製品だけを口にすることができるのだろうか。
「外食は安いアメリカ産を使っている可能性が高い。また、スーパーで売られている加工食品への原産国名表示は2018年から義務化されているが、必要なのは重量比率が最も多い品目だけ。それも、原産国が複数なら『輸入』とだけの記載も許されており、消費者ウケが悪い原産地名をあえて隠すことも可能なのです」(食品業界紙記者)
ただし、見分ける方法がないわけではない。
「国内で売られている牛乳は学校給食を含めすべて日本産なので、安心して飲める。加工食品も国産乳を使っていればそう明記するはずです」(鈴木さん)
チーズやバターなどの加工品やお菓子も、アメリカ以外の国のものは基本的にホルモン剤不使用だと考えていいという。フランスやイタリア、ドイツなどのEU圏なら間違いない。一方、カナダや韓国は日本同様にアメリカ産の乳製品を輸入しているため、注意が必要ともいえる。吟味して手に取りたい。
※女性セブン2020年4月9日号