生活者の相場感がむしろ下がったものは?
最後に、2019年のほうが2001年よりも金額が減少している項目について。
●2001年から減少(7項目)
・友人のお父さんのお香典:10,025円→9,953円(-72円・1%減)
・友人の誕生日に贈る花束:3,455円→3,391円(-64円・2%減)
・フォーマルウェア(スーツ):40,389円→39,356円(-1,033円・3%減)
・栄養ドリンク1本:251円→238円(-13円・5%減)
・海外旅行:170,929円→160,618円(-10,311円・6%減)
・コーヒー1杯:291円→266円(-25円・8%減)
・パソコン(本体):165,771円→115,235円(-50,535円・30%減)
「友人のお父さんのお香典」「友人の誕生日に贈る花束」など、微かな減少に留まったものもある一方で、金額が最も大きく減少した「パソコン(本体)」は約30%の減少となっています。確かに2001年当時と比べてみると、家電量販店では低価格な海外メーカーの商品も目立つようになりました。また次いで減少率の大きい「コーヒー1杯」は、近年割安な商品がコンビニ等で相次いで販売されるようになった影響があると考えられます。
いかがでしょうか。平成を振り返るとき、1992年のバブル崩壊以降を指して、いわゆる「失われた20年(30年)」、長らく不況とデフレが続いた時代と捉えられることが多いようです。平成終盤の2010年代後半は比較的安定して景気回復が続いていましたが、迎えた2020年は、新型コロナウイルスの影響もあり、現状のままでは景気後退が避けられそうにない状況です。この先、企業側が対応策として商品の値下げや割引セールなどを多用することになれば、2001年時から多くの項目で増加していた生活者の“相場感”にも、少なからず影響を与えることになるでしょう。
生活者の意識が再びデフレモードに回帰するのか、あるいは何とか踏みとどまるのか。しばらくは目が離せない状況が続きそうです。
◆レポート/三矢正浩(博報堂生活総合研究所 上席研究員)
参考情報
〇価格意識調査
調査地域:東京23区
調査期間:2019年4月4日~5月13日(2001年と2019年の2時点で実施)
調査対象:15~69歳の男女
調査人数:400人(2001年は600人)国勢調査に基づき性年代の人口構成比で割付
調査手法:訪問留置調査