4月7日、新型コロナウイルスの感染拡大を受け、日本でも緊急事態宣言が発令された。これに基づき、東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡など7都府県の知事は、法律に基づく外出自粛要請やイベント開催制限の要請・指示が可能になる。少しでも多くの人命を守るためにはやむを得ない措置だが、経済面では大きな悪影響が出るだろう。
外出自粛はその実施期間次第では、旅行、ホテル、交通運輸、レストラン、百貨・専門店、流通関連企業、耐久消費財メーカー、不動産販売会社など幅広い業種で、壊滅的な影響を与えかねない。
こうした業種でも大企業であれば、ある程度の現預金、換金性の高い流動資産があるだろうし、取引先銀行が政府の指示を受けて資金繰りの支援をしてくれるだろう。しかし、財務体質が脆弱で、銀行との取引関係の薄い中小零細企業、個人事業者などはそうはいかない。こうした社会的に弱い箇所に配慮した政策が不可欠である。
早い段階から都市封鎖、厳しい外出制限を行ってきた中国では、政策による副作用は極めて大きいはずである。中国の状況はどうであろうか。
中国国家市場監督管理総局の孫梅君副局長によれば、中国には3月15日現在、8353万件の個人事業会社があり、就業者は2億人を超えている。中国企業改革発展研究会が3月28日に発表した報告書によれば、この内の67.5%が今回のコロナ・ショックで経営上、大きなダメージを受けている。こうした企業に対して、政府が財政・税制、金融、賃貸料、社会保障といった各方面で政策を打ち出している。
例えば、被害の最も激しかった武漢市のある湖北省では小規模納税者増値税を免除としており、その他の地域では従来の3%を1%に引き下げた。個人事業会社が納める従業員年金、失業保険、障害保険については企業負担の減免を実施した。金融機関に対しては個人事業会社の支援を目的とした低利での貸出枠を増加させた。エネルギー浪費企業を除き、個人事業向けの電力価格を引き下げる政策を打ち出した。都市土地使用税の減免などを通じ、地方政府がまず、土地所有者側を支援し、個人事業会社のために、かれらが不動産賃貸料を引き下げられるようにした。