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トイレ紙買いだめ騒動に「SNSより圧倒的にテレビの影響大きい」

 心理学のには、うわさ(R)の量は、関心の大きさ(i)とあいまいさ(a)の積に比例するという大原則(*注:「R~i×a」という公式)があり、トイレットペーパー(i)が品薄になる理由があいまい(a)であればあるほど、さまざまなデマ(R)が拡散されていくという(*注)。

【*注:「Rumor(うわさ)」「~(比例する)」「interest or important(関心の大きさまたは重要性)」「×(積)」「ambiguously(あいまいさ)」を意味する】

「ある株価が上がるというデマが流れて、実際に人々がその株を買い、本当に値上がりする、という現象を『予言の自己成就』といいますが、トイレットペーパー騒動も、これにあたると言えましょう。

 沈静化させるには、政府や行政など権威ある情報源が確かな情報を提供することなのですが、いまはその信頼性が著しく低下しています。さらにテレビやメディアも不安をあおるばかり。『冷静な行動を』と言ったところで効果はないのです」

 買いだめが合理的な行動とはいえ、「しすぎ」を抑制する方法はあるのだろうか。

「高齢者や体が不自由な人など、なかなか買えない人たちの分まで買い尽くさない、という思慮を持つことが大切ではないでしょうか」

 万全の備えは必要だが、しすぎていないか考えてみることも重要なのだ。

◆橋元良明さん/東京女子大学現代教養学部教授。東京大学大学院情報学環教授を経て2020年4月より現職。情報行動の変遷と社会への影響、メディア利用が乳幼児や青少年に及ぼす影響について研究。著書に『メディアと日本人-変わりゆく日常』(岩波新書)ほか多数。

※女性セブン2020年4月23日号

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