16日のNYダウは小幅反発に転じた。週次新規失業保険申請件数の増加が続いたほか、4月のフィラデルフィア連銀製造業景況指数が過去最大の落ち込みを見せ、景気先行きへの懸念が株価の上値を抑えたものの、トランプ政権による経済活動再開の指針発表を期待した買いが強まり上昇した。この流れを受けて一段高で始まった17日の日経平均は時間外取引での米株価指数先物の上昇と、米バイオ製薬大手が開発した抗ウイルス薬の報道も刺激材料となり、上げ幅を広げる展開となった。日経平均は一時20000円の大台にあと77円強に迫る場面があり、大引けでは前日比607.06円高の19897.26円と3日ぶりに大幅反発した。
今週の日経平均は、不透明感が強いながらも、上値を試す場面がありそうだ。トランプ米大統領が新型コロナウイルス対策の行動制限緩和に向けた新たな指針を数日中に発表との報道を受け、14日の日経平均は時間外取引の米株価指数先物が上昇するとともに先物主導で上げ幅を拡大し3月25日に付けた終値ベースの戻り高値19546.63円を上回り、4月限SQ値19577.48円も回復した。チャートは3月19日安値16358.19円を1番底、4月3日安値17646.50円を2番底とする反転トレンドを示している。
一方、3月の米鉱工業生産が歴史的落ち込みとなるなど実体経済への懸念が高まり、その後は上値の重さを意識させる展開となっていたが、米国の経済活動再開の指針発表を期待して週末17日には取引時間中で3月9日以来となる20000円の大台をうかがう展開となった。16日には緊急事態宣言の対象地域が全都道府県に拡大されるなど、新型コロナウイルスの感染拡大に対する警戒感はなお強いものの、新型コロナウイルスの感染ピークアウトと米国経済活動の復活を期待する流れが強まっている。
こうしたなか、今週は市場にインパクトを与える目立った経済指標は見当たらない。むしろ、米国で本格化する企業業績の発表が、相場全体の流れを左右してきそうだ。主要な米企業の決算発表スケジュールは、20日にIBM、21日にテキサス・インスツルメンツ、 ネットフリックス、23日にアマゾン・ドットコム、インテルが予定されている。なかで、テキサス・インスツルメンツとインテルの発表は、アドバンテスト<6857>や東京エレクトロン<8035>など指数寄与度が大きい半導体関連に影響を与えるだけに要注目だ。
国内企業では23日のディスコ<6146>、日本電産<6594>、キヤノン<7751>、24日の、アドバンテスト、ファナック<6954>の決算が関心を集めるだろう。しかし、翌週27日からのゴールデンウイークが意識され始めて、大型株は週後半に向けて、全般は動きにくくなることが予想される。
17日にかけてジャスダック平均が10連騰、マザーズ指数が5日続伸を見ていることが示すように、値動きが軽い新興市場の小型株に物色人気が傾斜を強める可能性がある。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、20日に3月貿易統計、3月コンビニエンスストア売上高、21日に「宮城ひとめぼれ」が大阪堂島商品取引所に上場、24日に3月全国消費者物価指数、3月企業向けサービス価格指数、2月全産業活動指数が予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールは、20日に米3月シカゴ連銀全米活動指数、21日に米3月中古住宅販売件数、22日に米2月FHFA住宅価格指数、23日に米3月新築住宅販売件数、24日に米3月耐久財受注が予定されている。