中国の新型コロナウイルスの新規有症感染者数が最後に100人を超えたのは4月12日のこと。その後、減り続け、27日には6人と発表されている。しかも、この間、その多くは、海外からの入国者であった。世界に先駆けて“封じ込め”に成功した格好に見えるが、だからといってすべての地区で厳しい制限措置が解除されたわけではない。
中国では各地方政府がその状況に合わせ、独自の対策を行っている。筆者が確実に現地の状況を把握できる長春市(吉林省)、北京市の例を挙げて説明すると、まず、長春市では外出禁止令は既に1か月以上前に解除されており、現在では、マスクの着用義務や、検温の実施は残っているものの、交通機関は正常に運行しており、小売・サービス業も営業している。
一方、北京市でも市内での活動はおおよそ正常化している。しかし、北京市から一旦外に出て戻ってくるような場合、あるいは外から入ってくる場合、14日間の自宅待機が必要になる。中国国内でも黒龍江省など一部地域は非常事態が続いており、そうした地域から戻ってくる場合には、海外からの帰国者同様、政府により隔離されることになる。ほぼ、すべての人がスマホを所有、微信(ウィーチャット)を使っており、微信による移動履歴の管理が行われている。ちなみに、スマホを持っていない場合は面倒なことになるはずだが、そうした人の話は聞かない。
国家全体の政策としては、4月22日に李克強首相が主宰する新型コロナウイルス対策会議が開かれ、最新の対策が示された。それによれば、全面的な経済活動の正常化に向けてウイルス検査、抗体検査を大規模に行う計画である。
出来るだけ多くのウイルス検査を実施することで、全体の感染状況を正確に把握するとともに、抗体検査を実施し、ウイルスに対する社会としての防御能力をより正確に把握しようとしている。ウイルス感染者、抗体を持っている人の数を正確に把握してこそ、各地域に適した政策をタイムリーに打ち出すことができるという考えだ。