4月26日に国家衛生健康委員会の米峰報道官は記者会見を行い、「現在、30種類の新型コロナウイルス検査試薬(PCR用、抗体検査用)を認可しており、1日の生産能力は902万5000人分に達する」と発言した。
こうした検査試薬は国内のみならず、海外にも販売される。中国は、正確であることよりも、ある程度使えるのであれば早く市場に出すべきだといった考え方が強い。正確であることをより重視する海外ではこうした中国製の製品に対して低い評価を下すところもあるようだ。
ただ、値段が安くて、十分供給量があるのなら、利用価値を見出すことはできる。それに、製品は改良し続ければよい。中国では今後も、こうした拙速を恐れずスピードを重視するやり方で、社会をコントロールし、新型コロナウイルスを封じ込めようとするだろう。
中国は新型コロナウイルスの封じ込めに成功していながら、依然として都市間の人の移動を厳しく制限し、隔離措置を続けている。その上で、新型コロナウイルス検査を更に充実させ、抗体検査を強化している。社会の中で抗体を持った人が一定の割合まで増えなければ、厳しい措置を緩和できないといった考えであろう。
これから厳しい措置を緩和していくことになるだろう日本でも、中国のやり方が参考になる側面もあるかもしれない。
文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。メルマガ「田代尚機のマスコミが伝えない中国経済、中国株」(https://foomii.com/00126/)、ブログ「中国株なら俺に聞け!!」(http://www.trade-trade.jp/blog/tashiro/)も展開中。