投資情報会社・フィスコが5月11日~5月15日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。新型コロナウイルスの発生源をめぐる米中対立で貿易協議決裂への警戒感は消えていないようだ。トランプ政権はコロナ発生源について中国・武漢のウイルス研究所と主張したうえで、中国が1月に署名した第1段階の貿易合意を順守しない可能性を示唆した。それを受け、両国の貿易摩擦への懸念が再燃しており、リスク回避の円買いが観測された。米国内での新型ウイルス感染による死者数はペースが緩やかになったとはいえ増加が続き、経済活動の再開に慎重な州は多い。
ただ、前例のない悪化となった4月米雇用統計をこなし、景気底入れへの期待が広がった場合、リスク選好的なドル買い・円売りが優勢となる可能性がある。ジョージア、カリフォルニアなど複数の州はロックダウンを段階的に解除する方向で、経済の正常化に向けた動きも出始めている。また、一時混乱に陥った原油相場も持ち直しており、雇用統計が急激な悪化を示しても景気底入れの期待が広がる可能性もあろう。その際には早期回復への観測からリスク資産の買戻しが進み、ドル買い・円売りに振れやすい地合いとなりそうだ。
【米・4月消費者物価指数(CPI)】(12日発表予定)
12日発表の4月CPIは前年比+0.4%、コア指数は+1.7%と予想されており、インフレ率は3月実績を下回る見込み。人口の多い地域の封鎖などが消費にどのような影響を与えているか注目される。
【米・4月小売売上高】(15日発表予定)
15日発表の4月小売売上高は前月比-10.9%と、減少幅は3月の-8.4%を上回る見込み。個人消費は著しく落ち込んでいる。新型コロナウイルスの影響による雇用情勢の悪化で消費の大幅な縮小が顕著になりそうだ。