日本の健康保険制度はきわめて広範囲にわたるため、入院に際してもかかる費用の大部分がカバーされている。
さらに、「高額療養費制度」を利用すれば、一般的な収入(年収約370万~約770万円/70歳未満)の人で1か月の支払い上限は約9万円となり、それ以上のお金が払い戻される。
その一方で、入院患者の大きな負担となるのが「入院保証金」だ。入院時に約5万円から10万円を病院に払う一時預かり金。退院時に医療費と相殺されるのだが、一時的な出費として備えておく必要がある。
また、自己負担が増える落とし穴として「差額ベッド代」がある。
保険が適用される病室には、1室に5床以上が必要という条件がある。そのため、1~4人部屋の場合、追加の自己負担を払わなくてはならなくなる。その自己負担分を差額ベッド代という。医療経済ジャーナリストの室井一辰氏がいう。
「中央社会保険医療協議会のデータ(平成30年11月発表)によれば、入院1日にかかる差額ベッド代の平均額は1人部屋で7837円、4人部屋でも2440円。一見、それほどでもないように見えますが、2週間の入院で1人部屋なら11万円、4人部屋でも3万円を超える自己負担になるので、合計でかなりの金額になります」