外出自粛要請の中でテレワークでの在宅勤務を続けている会社員たちは多い。在宅勤務に移行した結果、夫婦喧嘩や育児との両立の難しさなど、トラブルや苦労の声はよく聞こえてくる。こうした「問題」は、夫婦・子育て世帯ばかりがフォーカスされがちだが、ワンルーム住まいの単身者たちも苦労の日々を過ごしている。
オンとオフの切り替えができない
30代の男性会社員・Aさんは、職場の近くがいいという理由で、都心のオフィス街に家賃10万円弱のワンルームを借りている。部屋の広さや築年数には目をつむり、通勤という苦痛を減らすため「地の利」を取ったというわけだ。だが在宅勤務に移行したことで、その目論見はもろくも崩れた。
「職場まで徒歩圏内の場所に住まいを借りたので、これまでは本当に楽でした。土日になると周辺にほとんど人がいなくなるのも、むしろ心地よかった。でも、今は半ば強制的にこのウサギ小屋みたいな狭い部屋に閉じ込められて、外もゴーストタウンのようになっているなか、一日中PCに向かっている。正直、気が変になりそうです」
通勤にかかわる時間と労力の削減を前提に部屋を借りていたAさんは、「とにかく会社に近いこと。どうせ寝るだけなのだから、ある程度の清潔感が保たれれば、それでいい」というスタンスだった。しかし、在宅で仕事をするとなると、その立地と狭さがネックになっていると話す。
「基本外食の生活でしたが、在宅勤務になると、周りがオフィス街なのでスーパーがない。ウーバーイーツとコンビニでどうにかしのいでいます。
問題は、狭さですね。部屋のほぼ半分がベッドで、食事もベッドの上に座ってするしかない状態です。洗濯物だって、カーテンレールにずらりと吊るして乾かしています。そういった空間では、オンとオフとの切り替えが本当に難しい。