家で仕事をする想定はしていなかったので、机もイスもないし、買ったとしてもスペースがない。同僚は『在宅勤務をするなら機能面に優れた椅子を買ったほうが良い』と言いますが、本格的なものならなおのこと置く場所はありません。外出自粛でカフェに行くのも難しいし、なんとなく引っ越しもしにくい。今は床に座り、ダンボールの上にPCを置いて仕事をしていますが、集中できるわけがないし、体も痛い。在宅で仕事をしにくい人のためにホテルとかが場所を提供しているらしいので、上司に相談しようと思っています」(Aさん)
一人で壁に向き合う毎日
20代の男性会社員・Bさんは、オフィスまで徒歩15分、家賃7万円弱、10平米ほどの狭小ワンルームに住んでいる。だがコロナ禍の今、住まい選びを後悔しているとため息をつく。
「とにかく部屋が狭いので、コロナ前でも休日は外出ばかりしていました。友人や彼女の部屋に遊びによく行き、千葉県にある実家に帰ることもしばしば。あくまで平日の夜を過ごせればいいというだけの部屋で、生活の中心は家ではなく“外”にあったわけです。でも今、その前提が崩れ去ると、ただの“独居房”でしかない。同じくらいの賃料で、会社から少しくらい遠くても広い家に住めばよかった」(Aさん)
そんな“外”ありきのBさんの生活は、コロナ禍で一変した。苦労が絶えないため、実家に帰ることを検討するほど、行き詰まっているという。
「ちゃぶ台に12インチノートPCを置いて、腰に痛みをおぼえながら、座イスで仕事をしています。スーパーでの買い物は3日ごとという推奨という話も無理があります。僕の部屋には冷凍機能がない小さな冷蔵庫しかないので、3日分のものを入れておくのは厳しい。また、元々シャワーはあるけど浴槽がなく、ジムに行ってお風呂に入る生活だったのですが、今はそれもできなくなりました」
狭い部屋での一人暮らしの苦労は、メンタルにも影響しているという。
「なんだかんだいっても、家の中に誰かいると気分転換にもなることもあるのではないでしょうか。その人のために料理をしようと思うかもしれない。オンラインでつながるといっても、その後の虚しさは底知れないものがあります。一人で壁に向き合う毎日で、おかしくなりそうになるので、実家に帰ることを真剣に検討しています。空間の広さがいかに大切かを、実感しています。もし緊急事態宣言が再延長されるなら、6月に部屋を解約するかもしれません」(Bさん)