新型コロナウイルス感染拡大防止のため、外出自粛が呼びかけられる中、苦境に陥っているのが飲食業界。東京都の場合、飲食店の営業は20時まで、アルコールの提供は19時までという要請が出されており、客の側からしても、飲んで気勢を上げれば白い目で見られかねないムードが漂っている。
実際に居酒屋を覗くと、こんな状況でもジョッキやグラスを傾けている人はいるが、なぜそこまでして店で飲みたいのか?
小さな印刷会社に勤めるIさん(40代男性)は、“あくまでも合法派”だ。Iさんはここ10年、出勤する日は毎日、土日もどちらかは外で飲むという根っからの居酒屋好き。コロナ禍の最中でも基本的なスタンスは変わらないという。
「在宅でできる類の仕事ではないので、コロナ騒動が始まっても通常通りに出勤しています。ただ、定時(17時)に上がれとのお達しが出ているので、居酒屋のオープンに合わせて店に入り、普通に飲んで家に帰っています。独身で、家はとんでもなく散らかっており、料理もまったくできません。開いている店はありますし、19時まではアルコールOKなのに我慢する理由もないですし、ルールは一切破っていませんから」(Iさん)
自営業のHさん(30代男性)は“理論武装派”だ。Hさんは名門私立大学を卒業後、海外の大学に留学した経歴の持ち主。病理学を学び、ウイルスについても一家言を持つ彼は、この状況下でもSNSにせっせと居酒屋巡りの様子をアップしている。Hさんの友人はいう。
「Hに飲みに行かないかと誘われたので、『コロナが……』と言うと、待ってましたとばかりに、『細胞の……』『症例が……』『エビデンスが……』『良性の……』などと、まくしたてられました。『○○を食べるのは止めたほうがいい』とも言っていて、だったら外に飲みに行くこと自体をやめた方が良いと思うのですが……」(Hさんの友人)