薬局は薬代では利益が出にくいため、患者の“管理料”といった“サービス料”で利益を出す構造になっている。そこで、少しでも薬代を節約するためにも、必要な項目・無駄な項目を精査したい。
まず、薬の服用歴を記録した「お薬手帳」は飲んでいる薬を管理できる上、薬代を節約するには必須だ。ファイナンシャルプランナーの小谷晴美氏が解説する。
「調剤薬局で薬をもらう際、お薬手帳を持参すると薬剤服用歴管理指導料の点数が低くなる。3割負担で最大40円安くなります」
50歳から70歳まで月に1度通院する場合、お薬手帳を持参すると、20年間で合計1万円ほどの差になる。
毎回、同じ薬剤師から薬をもらう「かかりつけ薬剤師」の制度を利用すると、「かかりつけ薬剤師指導料」が3割負担で220円増す。認知症などが対象の場合、「かかりつけ薬剤師包括管理料」が加算され、3割負担でも840円高くなる。
その分、同じ薬剤師にチェックしてもらえるメリットがあるわけだが、薬局側の思惑も知っておきたいと、高崎健康福祉大学准教授の木村憲洋氏はいう。
「現在は規模の大きな薬局ほど調剤基本料が低く抑えられて利益が出にくいため、薬剤師に指導料のノルマを課す大手薬局もある。1人の薬剤師が40人の患者をみるケースもめずらしくありません」
かかりつけ薬剤師を利用すると担当薬剤師が勤務する時間帯に薬局に出向く必要があり、薬をもらう手間が増える怖れもあると知っておきたい。また、あまり知られていないのが「一包化加算」だ。前出・小谷氏の説明。
「複数の薬を1度に飲む分に小分けして、1袋ずつパックにすることを指します。42日分以下は7日ごとに32点(320円)が加算され、43日分以上は一律240点(2400円、3割負担で720円)加算なので、1度に多くもらったほうが得です。ただし、自分で薬を管理できる人にとっては不要でしょう」