コロナ禍の今、外出自粛の影響からテレビ視聴率が伸びている。ビデオリサーチによれば、前年の同週同曜日(関東地区6~24時 総世帯視聴率)と比較すると、2月下旬から前年を上回る状況が顕著となり、3月後半以降、前年を大きく上回る状況が続いているという。しかしその一方で、テレビから距離を置き始めた人たちも出始めているようだ。
テレビをつければ連日、新型コロナウイルスに関する番組が放送されている。情報番組では、専門家だけでなく、タレントや専門外のコメンテーターたちが、声を大にして自分の意見を発表するケースも少なくない。とりわけワイドショーは、その発言や番組内容から頻繁にネット炎上の火種になっている。こうした現状に、“コロナ情報疲れ”を感じるようになった人もいる。
50代の主婦・Aさんは、家ではテレビをつけっぱなしの生活を続けていた。日中はワイドショーを見ることも多かった。家事中は音声だけ、一段落ついたら、コーヒーを飲みながら見るといった具合だ。
「芸能ネタだけでなく政治経済も取り扱う番組が増えてきていて、知識のない私でも理解できるように丁寧に説明してくれるので、以前は積極的に見ていたのですが……」(Aさん)
それが、コロナが蔓延し始めてから、Aさんのワイドショーに対する印象は変わっていった。
「最初のうちはコロナが不安で、専門家の方の意見やコメンテーターの発言も真剣に聞いていました。チャンネルも頻繁に変えながら、複数の番組を視聴するようになっていました。でも、気づけば批判や文句ばかりで、気分が悪くなることも多くて……。スーパーの空の棚を見せられて、『買い占めはやめてください』と言われても、逆に余計に不安になりました。見ているとだんだん不安や怒りなどを感じる機会も増え、いちいち疲れてしまうようになったんです」(Aさん)