新型コロナ感染拡大防止のために外出自粛が続くなか、隣人トラブルが増加している。警視庁によると、3、4月は騒音関連の110番通報が前年と比べて3割近く増加しているという。コロナで巣ごもり生活が余儀なくされる今、何が起きているのか。隣人トラブルの当事者や目撃者たちに話を聞いた。
30代の女性会社員・Aさんが、一人暮らしのマンションで在宅ワークをしていたときのことだった。夕方、Aさん宅と廊下を挟んだ向かいの家から、「きゃー! 助けて!」と悲鳴が聞こえた。ただならぬ様子だった。
「思わず、本当に警察を呼んだほうがいいのか、玄関のドアを少し開いて様子をうかがうと、奥さんが外に出され、ドアを必死に引っ張りながら何か叫んでいました。家の中からは『出ていけ! いちいちうるせえんだよ!』という男性の怒号が漏れ聞こえました」(Aさん)
DVを疑うような光景だけに、Aさんは警察に連絡すべきか迷ったが、しばらくして大声が止んだため、思いとどまった。Aさんは当時をこう振り返る。
「この家の前には三輪車があって、いつも生協の宅配を頼んでいたので、『小さな子がいて、ちゃんとした生活を送っている家族』というイメージがありました。それだけに、近所に聞こえるくらいの大喧嘩というのは意外でした。結局、通報はしませんでしたが、警察を呼ぶかどうかの線引きの難しさも感じました」(Aさん)
アパートで一人暮らしの20代の男性会社員・Bさんは、隣人の運動をしているような「ドスドス」とした音、夜の話し声にも悩まされているという。