「昼間は部屋で運動しているのか、非常にうるさい。そして夜はオンライン飲み会をしているのか、話し声がずっと聞こえてくる。外出自粛要請とはいえ、もう少し家の中で静かにできないのか……。築年数も数十年の木造アパートで、壁も薄い。寝るだけならまだしも、住人全員が家にずっとこもっている状態での共同住宅生活は、なかなか厳しいと痛感しました」(Bさん)
Bさんはそう言うが、一戸建て住まいにも悩みはある。両親と郊外の戸建てに暮らす30代の女性会社員・Cさんは、ずっと家にいるようになり、早い時間にお風呂にゆっくり浸かることができるようになった。そんなある日、お風呂に入っていると、隣の家の高校生男子が風呂場で大声で歌っていることに気が付いた。
「うちの風呂場は、隣の家の風呂場と向かいあわせになっているので、ダイレクトに聞こえてくるんです。同居する親によると『いつも』とのこと。うるさくて苦情を言うというほどではないですが、お風呂に入る時間は調整するようになりました……」(Cさん)
30代の女性会社員・Dさんは、都内の戸建てで夫婦二人暮らし。これまでは夜しか洗濯できないため、洗濯物は基本的に乾燥機を使うか、室内に干していた。だが、在宅勤務になり昼間に干すようになると、事件が起きた。
「時間ができたので、午前中に洗濯し、庭に干していたら、『見苦しい』と隣の家の男性から文句を言われました。別に下着を干しているわけでもないし、隣の家に影をつくっているわけでもない。うちの庭なのに、難しいなと思いました」(Dさん)
密集する日本の住宅事情だけに、巣ごもり生活に伴う隣人トラブルは深刻だ。Dさんは、「みんながずっと家にいることで、普段気が付かなかったことも気になるようになった面はある」としたうえで、「日頃からお隣さんとコミュニケーションをとっていなかったことも、良くなかったのかもしれません。気になったことを互いに気軽に話して、落とし所をみつけるといった解決がしにくく、我慢するか、言うとしても“文句”といった感じになってしまう……」と頭を悩ませていた。