投資情報会社・フィスコが5月25日~5月29日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は底堅い値動きか。世界保健機関(WHO)の新型コロナウイルス対応をめぐり米国と中国は対立している。両国関係の悪化を警戒してリスク選好的な為替取引は縮小しつつあるようだ。ただ、日本銀行による追加金融支援策は円買い圧力を弱める可能性があること、米連邦準備制度理事会(FRB)の経済支援策への期待は失われていないことから、リスク回避的なドル売り・円買いが大きく広がる可能性は低いとみられる。
米中対立は先鋭化しつつあるようだ。トランプ政権は香港の「一国二制度」を持ち出し、ポンペオ国務長官が批判的な見解を示したのに対し、中国側もすぐに内政干渉と反論。米国の台湾への武器輸出などにも問題が広がり、非難の応酬が続く。クドロー米国家経済会議(NEC)委員長は、「第1段階に合意した米中貿易交渉について破棄されない」と予想しているが、市場の警戒感は払しょくされていない。
ただ、パウエル連邦準備制度理事会(FRB)議長は議会証言やセミナーなどで、緩和的な措置に繰り返し言及しており、株式市場を支える要因となっていることは見逃せない。多くの州で新型コロナ抑止のための制限措置は緩和されつつあり、米国経済の段階的な再開(経済正常化)を見込んだドル買いが入りやすい。一方、日銀は臨時の金融政策決定会合を開催し、新型コロナウイルスの影響で資金繰りが懸念される中小企業を支援するため新たな資金供給策を決定。それを受けた円売りが継続すれば、ドルを含め主要通貨は引き続き底堅く推移しそうだ。
【米・5月消費者信頼感指数】(26日発表予定)
26日発表の米CB5月消費者信頼感指数は87.0と、4月の86.9をわずかに上回る見通し。多くの州で制限措置が緩和されているが、消費者信頼感の回復を示す内容だった場合は、株買い・ドル買いに。
【米・1-3月期国内総生産(GDP)改定値】(28日発表予定)
28日発表の米1-3月期GDP改定値は、速報値の前期比年率-4.8%からさらに下方修正されるか注目される。市場予想を下回った場合、早期回復への期待は後退するが、ドルに売り材料にはならない可能性がある。