コロナ・ショックで景気悪化が進み、多くの企業がダメージを受けるなか、30代半ば~40代半ばの「就職氷河期世代」の雇用にも再び暗雲がたちこめている。政府は昨年、就職氷河期世代への支援を発表したが、そんな矢先に起こった新型コロナウイルスの感染拡大。すでに今後の就職戦線は冷え込むことが予想されており、今の大学生たちは“コロナ氷河期”に戦々恐々としているが、元祖・氷河期世代は今、どんな気持ちでいるのだろうか。
九州在住で就職斡旋の相談員として従事する女性・Aさん(43歳)は、コロナで企業の求人に明らかな変化が起こっていると話す。
「コロナ以前に比べると、確実に求人は減っています。地方自治体や官公庁では、氷河期世代を職員として募集する動きがあるようですが、私の住む街ではそういった動きはゼロ。コロナによる内定取り消しや休業、失業者支援に忙しく、氷河期世代を助けるどころではありません」(Aさん)
そう話すAさんは、自身も非正規雇用だ。九州の四年制大学を卒業したが、希望する企業には就職できず、地元の印刷会社に入社。しかし、会社が2年で倒産してしまい、その後は、非正規として職場を転々。3年前から現在勤める会社に契約社員として働いている。自らを“ワーキング・プア”だと言うAさんは、「また放置されるんだ……」との思いを強くしているという。
「いくら政府が氷河期世代を支援するといっても、感染拡大第二波の懸念もあり、企業業績は先が見通せない状態。予定されていた新規事業がストップするなどして人材募集が減らされるほか、現在正社員でいる人たちは今の位置にしがみつこうとして退職者も激減しているので、雇用の空き自体が減っています。私たちの世代にやっと支援の目が向いてきたのに、また放置されることを考えると苦しい気持ちになります。私自身、来年の契約更新があるかどうか……」(Aさん)
東京の広告会社で正社員として働く女性・Bさん(39歳)は、予定していた転職を諦め、今いる会社にしばらく在籍することを決めた。