「会社に嫌気がさし、地元の福岡に帰ろうと転職活動をしていたところでしたが、一旦ストップしました。大きな声では言えませんが、小さい企業でも正社員という立場でいられることに胸を撫でおろしています。私の会社は、コロナで仕事が激減し、すでに派遣社員は週1回の出勤に変更。中途採用も停止したと聞いています。業界的にしばらくかなり厳しくなるのは明白なので、なおさら、今は動けません。在宅勤務が定着して嫌な上司にも会う回数が減ったので、景気が回復するまでは、しばらく割り切って働くつもりです」(Bさん)
大阪で小さな飲食店を経営する男性・Cさん(42歳)は、関西の有名私大卒。氷河期時代にいわゆる“ブラック企業”に就職し、それがきっかけで今の飲食業の道に進んだという。
「私が大学を卒業した2001年は”超氷河期”と呼ばれ、同級生の多くは人手不足の中小企業に就職。私は、当時数百人の募集があった居酒屋チェーンに社員として採用されましたが、睡眠時間が平均3時間という過酷な労働に耐えきれず、2年で辞めました」(Cさん)
Cさんはその後、別の飲食店で本格的に修行し、34歳で独立。飲食店の経営は順調だったが、コロナで長らく休業状態になってしまった。なんとか雇用と店を維持すべく、手を尽くしている。
「この数か月の売上は、9割減になりました。これまで順調だっただけに、コロナの大打撃は本当に悔しい。飲食業には、パートやアルバイトとして働く40代前後も多いので、また犠牲になるのかと……。ウチは融資の申請をしてなんとか雇用を維持していますが、第二波が来たらと思うとゾッとします」(Cさん)
就職活動時に辛酸を嘗めた氷河期世代は、コロナ禍でもまた逆風にさらされているようだ。