四十九日法要を営むなら「2、3人まで」
コロナ禍は、「納骨」の簡素化に弾みをつけているのか。一方、従来どおりに納骨したくともできないケースもある。
「今、リビングルームに母のお骨壺を置いています。3月10日に亡くなり、四十九日が過ぎましたが、コロナの影響で納骨ができなかったので」
こう話すのは、東京都練馬区に住む石川克子さん(63才=仮名)。母(行年93才)は入居していた施設の自室で亡くなった。施設は3月初旬から面会禁止となったが、特別に配慮してもらえ、臨終に立ち会えた。石川さん一家と妹の6人だけで家族葬を営み、荼毘に付した。コロナ禍でも、そこまでは想定内だった。
ところが、4月7日に緊急事態宣言が出ると、寺から「四十九日法要はどうされますか?」と電話がかかってきた。4月29日に予約していたが、「営むなら、参加者は2、3人までに」と頼まれた。
「軽んじられている? と、いい気がしませんでしたが、感染拡大が続いていた中、お寺さんがそうおっしゃるのは致し方ないと思いました。でも、妹は関西に住んでいるんですね。お葬式には、止むを得ず1人で来ましたが、納骨は妹の家族も一緒に来たがっていた。私も来て欲しかったので、延期するしかないと。
10年前に父が亡くなり、納骨した時、『これで、お父さんも成仏できた』と母が言っていたことが思い出されるんです。このままでは母が成仏できないのでは、とつらいです」
亡くなって49日目を目処に納骨する──。逝去日を起点に7日目を初七日、14日目を二七日…と7日ごとに、閻魔大王から生前の功罪の判定を受け、49日目に生まれ変わる世界が決められる。そんなストーリーからで、実は仏教の教えに依拠せず、法律根拠もない。しかし、慣習となっているのは承知の通りだ。今、石川さんのように納骨ができず、悲しい思いをしている人たちが存外多い。