投資情報会社・フィスコが6月1日~6月5日のドル円相場の見通しを解説する。
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今週のドル円は上げ渋りか。米トランプ政権による対中制裁で両国の対立が嫌気され、安全通貨のドルに買いが入りやすい展開となりそうだ。中国政府は全人代で、香港での反政府的な動きを取り締まる「国家安全法制」導入の方針を採択しており、同地域での一国二制度は維持できなくなることを米国は警戒している。香港の統治問題を巡って米中の対立は長引く可能性があり、安全資産であるドルの需要はやや増加するとの見方は後退していないようだ。
ただ、米国の記録的な失業率悪化を受け、早期の景気回復への期待は後退しつつある。6月5日発表の5月雇用統計は、非農業部門雇用者数は前月比-800万人とさらなる減少が予想される。失業率は20%近くまで上昇すると予想されており、前回14.7%からさらに悪化する見通し。それにより雇用情勢の早期回復は見込めないとの観測が広がれば、安全逃避的なドル買いは後退しよう。
【米・5月ISM製造業景況指数】(6月1日発表予定)
6月1日発表の米5月ISM製造業景況指数は43.5と、4月の41.5から小幅に持ち直すと予想される。新型コロナウイルスの打撃を受けた製造業で回復の兆しが示された場合、景気の持ち直しを期待したドル買いに振れやすい。
【米・5月雇用統計】(6月5日発表予定)
6月5日発表の5月雇用統計は、失業率19.5%、非農業部門雇用者数は前月比-800万人、平均時給は前年比+8.9%程度と予想されている。失業率は前回を大幅に上回るものの、雇用者数の減少幅が市場予想を下回った場合、ドル売りを弱める要因になりそうだ。