家事力をスキルとして活用しよう
片平しのぶさん(58才)は、大学卒業後、コンサルティング会社で3年半働いた後、主婦業のかたわら、兄が経営する居酒屋で掃除などの手伝いを行っていた。そして45才のとき、友人の誘いで家事代行の仕事を始めた。
結婚後は主婦業に専念してきた片平さん。兄が経営する居酒屋を手伝ってはいたものの、掃除や配膳、食器洗いなど、仕事の内容は家事の延長だった。しかし、家事代行業を営む彼女の友人は、その“手際のよさ”に目をつけた。
「居酒屋で私が働く姿を見た友人が、家事代行業に誘ってくれたんです。確かに家事は得意でしたし、1日2時間だけというので、気楽に始めました」
しかし、当時の彼女には、家事や育児、家業の手伝いのほか、脳梗塞の実母の介護があった。
「仕事を頼まれてから介護が加わったので、続けられるか不安でした。夜通しの介護で眠れず、ストレスの多い毎日。でも、2時間だけ仕事で“外の世界”を見ると、リフレッシュできたんです。おかげで、母や子供たちにもやさしくなれました」
介護のために取得した「介護職員初任者研修」や、片づけのために取得した「整理収納アドバイザー」の資格が仕事にも役立ち、顧客からのオファーが次々と舞い込むようになり、気づけば13年も続けられているという。
「家でやって当たり前の家事も、同じことをよそのお宅ですれば、立派な仕事になり、感謝までされる。自信になりました」
家事は立派なスキルであり、社会からいま、引く手あまたで求められているのだ。
※女性セブン2020年6月25日号