11日のNYダウは1861.82ドル安の25128.17ドルと急落して、下落幅は3月9日の2013.76ドル安に次ぐ過去4番目の下落幅となった。FRB(米連邦準備制度理事会)が悲観的な景気見通しを維持して経済のV字型回復期待が後退したほか、ウイルス感染第2波を警戒した売りが先行した。12日の日経平均も米国株安を嫌気して続落となった。朝方寄り付き後に前日比685.98円安まで下げ22000円台を割り込む場面もあった。しかし、為替の円高が一服したほか前日からの下げピッチが速いこともあり、大引けにかけては下げ幅を縮小させ、日経平均は167.43円安の22305.48円で大引けた。なお、この日のメジャーSQ(特別清算指数)値は22071.46円だった。
今週の日経平均は落ち着きどころを探る展開となりそうだ。日米株式市場ともに先週は週末にかけて波乱の展開となった。米国では新型コロナウイルスの2次感染が広がっていることが懸念されて、経済のV字回復期待が後退しリスクオフの展開に転じた。パウエルFRB議長が10日、新型コロナウイルスの感染拡大により労働市場が回復するまで景気刺激策を継続する意向を示したが、経済回復が遅れるとの懸念が増す形となった。
東京市場では、相場の下支え要因として働いていた為替の円安が円高傾向に変化したほか、12日のメジャーSQに向けての買い戻しが一巡して、需給面でも転換期を迎えた。また、日経平均はテクニカル的にみても、累積売買代金が多く利益確定売りが出やすい価格帯である23000円台を回復したことで、一段の上値追いにブレーキがかかりやすい。
11日にはトレンド変化の指標として信頼性が高いとされる「新値三本足」も3月24日以来、2カ月半ぶりに「陰転」したことで日経平均は調整局面入りとなる可能性が高まっている。米国での2次感染拡大の懸念が抑えられるかが、ここからの相場センチメントを大きく左右してこよう。
このほか、11月の米国大統領選挙への影響も警戒される。一方、15日から2日間の日程で日銀金融政策決定会合が予定されているが、相場に対してネガティブな材料が出てくるとは予想されていない。15日に中国、16日に米国の5月小売売上高の発表があるものの、米雇用統計、FOMC、メジャーSQといった金融・相場イベントを通過し、スケジュール面で見た波乱要因はここからは少ない。