新型コロナウイルスの感染拡大でマスクやトイレットペーパー、アルコール消毒液などが品薄になり、買い占め問題が噴出したが、“第2波”が来た時も、同じことが起こるかもしれない。
流通ジャーナリストの渡辺広明氏が解説する。
「コロナ禍の初期段階では、正確な情報をキャッチできない人がパニックを起こし、店頭から商品が消えてしまった。実際に品薄かどうかは関係ありません。“誤った情報”に不安を煽られてしまう人がいる限り、また買い占め騒動は起きる可能性がある」
買い占めに走ってしまった、50代男性がこう明かす。
「“原料が輸入できないらしいから、トイレットペーパーが品切れになるかも”と聞くと、デマだと言われても不安になる。実際、あのときも買い溜めの流れに乗っかったことによって、売り切れのときに不自由せずに済んだ」
これに対して恨み節なのが、“デマに乗らなかった人”だ。
「テレビのニュースでは、再三『買い占めに走らなければ、品切れになることはないから、必要なぶんだけ購入を』と報じていたのに……。
朝早くからドラッグストアに並んだり、何店舗も回って買い占めている人を見て“なんてバカな暇人なんだ”と思っていたけど、売り切れから1か月近くトイレットペーパーが買えず、結局こちらが肝を冷やすハメになった」(30代男性)
いちばんの問題は“デマを信じた人のほうが得をする”という構図が生まれてしまったことだろう。冷静に行動した人がバカをみるという社会のままでは「第2波」に安心して備えることはできない。
デマの流布をどう食い止めるのか、何かの罰則を設けるなどの方策が可能なのか。検討は急務だろう。
※週刊ポスト2020年7月3日号