──個人消費は低迷し、多くの産業で売上が激減していますが、それに比べて日経平均株価は意外にも底堅い印象です。
北尾:年初に2万4000円ほどだった株価は、新型コロナ危機によって一時期は1万6000円台まで下落しました。しかし、多少の乱高下はあるものの、2万2000円台まで戻してきている(6月16日現在)。
その理由はシンプルです。市場は半年から1年の間に新型コロナウイルスに対するワクチンが登場し、普及することを織り込み済みで動いている。特に日本は新型コロナウイルスによる致死率が低いので、経済回復力が諸外国より高いと読まれているのです。
僕は、金融の世界で生きてきた人間として、「相場が一番正しい」を信条としています。
株価は、いろいろな人たちの利害関係や思惑がすべて組み込まれて形成されていく。半年後や1年先を映し出す物差しとして最も信頼性が高いのです。
相場はすべてを教えてくれます。相場の動きから目を離さなければ、この先の世の中の行方は半年から1年ぐらい先なら大体のことはわかります。
──証券、銀行など金融サービスを広く展開するSBIホールディングスにはどのような影響が?
北尾:外出自粛のためか、SBI証券や住信SBIネット銀行の口座開設が急増しました。また、将来への不安が増したことで、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入者も一気に増えています。キャッシュレス化も進展するでしょう。
新型コロナウイルスを機に、海外に比べて遅れていた国民のITリテラシーは今後、急速に上がっていくでしょうから、それは我々にとって商機と考えていますね。