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コロナで介護の潮流は「在宅介護」へ 費用は施設の半額以下に

在宅は345万円、施設は708万円

 まず、介護において何よりも大きなウエートを占めるのは「お金」だろう。介護費用を抑える最大の手段は、公的制度をフル活用することだ。

 そもそも、介護にはどのくらいのお金がかかるのか。公益財団法人「生命保険文化センター」の最新の調査によると、在宅介護にかかる費用は月平均4.6万円。これに加え、手すりの設置や便器の取り替えといった住宅改修や介護用ベッド購入などの一時的な費用に平均69万円かかっている。

 一方、施設での介護は月平均11.8万円となっている。

 一般的に、介護を行う期間は約5年間とされており、その前提でシミュレーションすると、在宅介護の場合の合計額は345万円。施設は708万円となるため、在宅介護は半額以下で済むというわけだ。介護・暮らしジャーナリストの太田差惠子さんが話す。

「日本の医療・介護の費用は社会保障制度により、少ない負担で済むよう設計されています。事前に勉強しておくことで『知らなかった』という後悔を減らせます。

 たとえば住宅改修費に対しても、介護保険の『要支援・要介護認定』を受けていれば、20万円を上限として最大9割のリフォーム代を返金してもらえる『住宅改修費の支給サービス』が用意されています。夫婦ともに認定されていたら最大で40万円まで使うことができます」

 介護保険は、「要支援1~2、要介護1~5」と7段階ある区分のうち、より重度であると認定されるほど金額の上限が上がり、手厚い支援を受けられるようになる。昨年6月26日に老衰で亡くなった高島忠夫さん(享年88)は、1998年に重いうつ病、その後パーキンソン病を患い、長期にわたる介護が必要となった。

 高島兄弟の兄・政宏(54才)は昨年、本誌に、「父親の在宅介護を続けていたが介護保険制度を知らず、10年近く費用は実費で現金払いしていた」と語った。さらに「費用負担が大きく、都内と福岡のマンションを売却して工面した」ことなどを明かした。

 まさに破産一歩手前まで追い詰められていたが、たまたまニュースで介護保険制度について知り、主治医に相談し、区のケアマネジャーを紹介されたことで大幅な負担減が実現できたという。

 高島家のエピソードは極端な話に思えるかもしれないが、介護保険は自ら申請しなければ受けられない制度がほとんどであり、うっかりしていると大損する恐れがある。

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