25日の米国市場では連日にわたりウイルス感染者数の増加が報告されたことが嫌気されたものの、金融当局がボルカールールの緩和を承認、スワップ取引の証拠金要件撤廃などを好感してNYダウは反発した。
この流れを好感して26日の東京市場も買いが先行した。メガバンクが買い戻されたほか、NTT<9432>と業務資本提携のNEC<6701>が連日の新値更新、富士通<6702>と東京エレクトロン<8035>が2月年初来高値を更新と優良株が上昇をリードした。大引けの日経平均は前日比252.29円高の22512.08円だった。
また、24日にマザーズに新規上場したフィーチャ<4052>は上場3日目の26日、公開価格の約9.1倍となる初値4710円を付けたのち乱高下となった。
今週の日経平均は外部環境に不透明感が残る中、22000円台を固める動きとなりそうだ。7月1日に6月調査日銀短観、2日に米6月雇用統計と相場に影響が大きい指標の発表を控えているほか、7月3日は独立記念日の振替休日で米国市場が3連休となることから、積極的な買い上がりは期待薄のタイミングとなっている。
しかし、相場にとって最大の懸念材料は引き続き、新型コロナウイルスの感染第2波への懸念だ。米カリフォルニア州のディズニーランド・パークが7月17日の再開予定を延期したほか、米北東部3州の自主隔離義務付けなど感染第2波に対する警戒は米国だけでなく、ドイツやオーストラリアなどでも高まっている。新型コロナウイルスの感染拡大による経済自粛懸念が強まると、リスクオフの流れが東京市場にも影響を与えてくる。
ただ、東京の感染者数は11日の東京アラート解除以降は1日当たり40人から50人レベルで増えているとはいえ、海外主要都市に比べると抑えられていることから、大幅な調整を回避している。需給的にみても、26日で12月決算企業の配当や株主優待の権利取りの動きが終了したものの、3月期決算企業の株主総会通過で配当の再投資が、日銀のETF買いとともに相場の下支え要因として働いている。
為替相場や海外要因に大きな変動がない限りにおいては、この需給要因が日経平均をサポートすることになる。日経平均は上昇してきた25日移動平均線が22000円から22500円のもちあい圏に接触してきたことで、このもちあいに変化が出てくるポイントにも来ている。
このほか、懸念材料は、米国が通信機器大手の華為技術(ファーウェイ)など複数の中国企業を中国軍の支援企業に指定したことで、米中間の対立が激化する可能性が膨らむことにある。物色的には再開されたIPO(新規上場)が高人気に沸いたことで、個別の循環物色が続くことになりそうだ。
今週の主な国内経済関連スケジュールは、29日に5月商業動態統計、30日に5月失業率・有効求人倍率、5月鉱工業生産、7月1日に6月調査日銀短観、6月自動車販売台数、6月消費動向調査、路線価(国税庁)、2日に6月マネタリーベースの発表が予定されている。
一方、米国など海外主要スケジュールでは、29日に米5月中古住宅販売仮契約指数、30日に中国6月製造業PMI、米4月S&PコアロジックCS住宅価格指数、米6月CB消費者信頼感指数、7月1日に米6月ADP雇用統計、米5月建設支出、米6月ISM製造業景況指数、6月9日・10日のFOMC議事要旨、香港市場休場、2日に米6月雇用統計、米5月貿易収支、米5月製造業受注、ユーロ圏 5月失業率、3日は米国市場休場(独立記念日)が予定されている。