コロワイドは現経営陣の刷新や、大戸屋のウリである店内調理をやめるなど、業績改善に向けた非常に厳しい株主提案を行なった。そのため開会前からプロキシー・ファイト(委任状争奪戦)が繰り広げられ、メディアでも盛んに報じられていた。
25日の総会の結果、軍配が上がったのは現経営陣のほうだった。取材した経済紙記者が語る。
「質疑に立った男性株主は『コロワイド案は反対。大戸屋の“ほどよい高額”と美味しい料理やお弁当の大ファンだ』と現経営陣を激励。コロワイドの株主提案に拍手はなく、それを見た窪田健一社長がグッと涙をこらえていたのが印象的でした」
3月の決算で総額1兆円超の赤字を出し、孫正義会長が立ち上げた投資ファンドも巨額の損失を出しているソフトバンクグループは、今年の総会を「完全オンライン」で実施(25日)。多くの株主にとって不満の残る総会となった。オンライン総会を見たジャーナリストの石川温氏が言う。
「孫氏は“株主にとって企業価値とは、利益でなく株価だ”と主張するなど、できるだけ1兆円赤字から株主の目を逸らそうとしているように感じました」
罵声を浴びた人あり、ピンチを免れた人あり。いずれにしても、経営者にとって株主総会は大きな試練だった。
※週刊ポスト2020年7月10・17日号