いまや小学生が「なりたい職業」として挙げるようになったYouTuber(ユーチューバー)。人気が出れば有名になれるだけでなく、一攫千金も狙える夢のある仕事だと思われているようだ。一方で、そんなイメージとは裏腹に、有名欲も儲けたい欲もなく、ただただ「YouTuberになってみたい」という大人たちも現れはじめている。一体どういうことなのか。
20代の女性会社員・Aさんは学生時代、就職活動に行き詰っていた。猫背ということもあり、ついつい姿勢が悪くなりがちで、面接に夢中になっていると前のめりになってしまうこともあった。そんな時、何社も内定を獲得した友人から、「“人に与える印象”を良くするには姿勢を良くすること」と指摘され、「自身の姿を動画で撮影して確認してみては?」と提案されたことが、きっかけだった。
「最初は自分の姿勢と印象チェックのつもりでしたが、自己PRなどの練習をしていると、本当に私の話がつまらないと気づきました(笑)。そこで参考にしたのがYouTuberでした。『はい、どうもー』『今回はですねー』みたいなあの独特の語り口とテンションで、自分をアピールしたら楽しくて。もちろん本番の面接ではそんなことは言えませんが、メリハリというか、抑揚の付け方や話題選びなどは学びました」
その後、YouTuberを参考にした面接を実践したAさんは無事に内定を獲得。その時、「YouTuberになりたい気持ちが強まった」と話す。
「日記的な感覚で動画に残していきたいな、と思ったんです。就活で辛いときに撮影した動画で思いの丈をぶちまけたら楽になったこともありました。一人言でもいいし、その日にあった悲しいこと、楽しいことでもいい。文章ではなく口頭だから楽なんです。いまは『非公開設定』でYouTubeに上げていますが、将来的に日常を伝える雑談系YouTuberになれたらいいなという夢があります。お金のためというよりは趣味で、私の思いやライフスタイルに共感してくれる人とつながりたいと思います」(Aさん)