住んでみたい街の理想と現実には、得てして大きな差があるものだ。憧れのあの街は果たして本当に素敵な街なのか? まったくノーマークだけど、実は住みやすい街は? 今回は「世田谷代田」(東京都世田谷区)について、ライターの金子則男氏が解説する。
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小田急線の駅については、すでに本コーナーで多数取り上げてきましたが、各駅停車しか停まらない世田谷代田をわざわざピックアップしたのは、6月に発表された「いい部屋ネット 街の住みここちランキング〈首都圏版〉」(大東建託)で、3位に入ったからです(1位は半蔵門・麹町、2位は築地・新富町)。このランキングは、現在居住している駅について、「大変満足」「満足」「どちらでもない」「不満」「大変不満」の5つから回答を選び、それを集計したもの。お隣の下北沢は人気タウンとして有名ですが、世田谷代田はそんなに住みやすいのでしょうか。
鉄道は小田急線のみで、各停しか停まりませんが、新宿まで12分、渋谷まで15分、大手町まで30分弱というのは確かに魅力的。井の頭線の新代田駅まで歩いて7~8分なので、併用も可能でしょう。長らく地上駅でラクラクだった乗り降りは、地下化されて少し面倒になりましたが、駅舎は見違えるように綺麗になりました。
道路状況は、ある意味絶好です。駅を出ると目の前がすぐ環七(環状七号線)。北に行くと国道20号(甲州街道)、中央道に続く首都高4号線、南に行くと国道246号(玉川通り)、東名高速に続く首都高3号線へとスムーズにアクセスが可能で、車移動には便利です。ただ、都内屈指の交通量を誇る環七の中でも、世田谷代田付近はかなりの渋滞ゾーン。イライラにはご注意を。
下北沢から徒歩圏内というアドバンテージ
お隣の下北沢は、人気の反面、人混みの多さやそれに伴う騒音から敬遠する人もいるかもしれませんが、そこから徒歩圏内の世田谷代田なら、下北沢の魅力を堪能しつつ、静かに暮らすことが可能。小田急線が地下化された部分は「下北線路街」として開発され、商業施設や公共施設などに生まれ変わり、温泉旅館も建設中です。少し歩けば緑豊かな羽根木公園があり、三軒茶屋も自転車なら10分程度。芸能人を見かけることも少なくないでしょう。