コロナで航空業界は大打撃を受けた。2020年1~3月期は、JAL(日本航空)、ANAホールディングス(以下、ANA)ともに赤字に転落。両社の5月の旅客数(国内・国際線)は前年同月比で約94.7%減と壊滅的だ。
国内線は政府と観光業界がゴリ押しする「Go Toキャンペーン」を頼みの綱とするが、“第2波”が迫るなか、世論の猛反対を受け、東京は対象外となり効果は限定的だろう。『経済界』編集局長の関慎夫氏が語る。
「テレワークなど新しい生活様式の普及で、人の移動が以前の状態に戻るとは考えにくい。市場規模縮小は避けられず、JALとANAの経営統合さえ机上の空論ではなくなる。もともと、人口3.2億人の米国が大手3社に集約されていることを考えれば、“1億人あまりの日本に大手は1社で十分”という議論はあったが、いよいよ現実味を帯びてくるのではないか」
ANAの社長、会長を歴任した大橋洋治氏(現相談役)はコロナの影響が拡大する最中に、「こんな小さな国で大手が2社も飛んでいる。1社で十分ですよね」と言及している(ダイヤモンド・オンライン、3月26日付)。
両社の従業員数(連結)はそれぞれ3万人を超える。「大手は1社でいい」となれば、“1社分=3万人の雇用”がどうなるのか。すでに両社は2021年度の新卒採用を中断・中止するなど、雇用への影響は表面化している。