新型コロナウイルスの流行によって、ダメージを受けた観光業などの活性化を狙い総予算1.7兆円が「Go To キャンペーン」に投入される。しかし、実施直前に「東京都発着を除外」「若者や高齢者の団体旅行除外」などの制限事項が次々と持ち上がり、混乱したままのスタートとなった。経営コンサルタントの大前研一氏が、「Go To キャンペーン」の意義について考察する。
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「Go To キャンペーン」が22日からスタートした。このキャンペーンは、新型コロナ禍で大打撃を受けている観光・運輸業、飲食業、イベント・エンターテインメント業などを対象とした来年3月中旬まで(予定)の需要喚起策で、予算は総額1兆6794億円。
経済産業省の資料によると、その内容は、
●旅行業者等経由で、期間中の旅行商品を購入した消費者に対し、代金の2分の1相当分のクーポン等(宿泊割引・クーポン等に加え、地域産品・飲食・施設などの利用クーポン等を含む)を付与(最大1人あたり2万円分/泊)
●オンライン飲食予約サイト経由で、期間中に飲食店を予約・来店した消費者に対し、飲食店で使えるポイント等を付与(最大1人あたり1000円分)
●登録飲食店で使えるプレミアム付き食事券(2割相当分の割引等)を発行
●チケット会社経由で、期間中のイベント・エンターテインメントのチケットを購入した消費者に対し、割引・クーポン等を付与(2割相当分)
──となっている。連泊制限や利用回数の制限はないが、個人で手配する航空券や列車など交通機関の代金は補助の対象外だ。
これまで本連載では安倍晋三政権の政策をたびたび批判してきた。かつては、アベノミクスをワースト1位とする「愚策ランキング」も発表したが、今回の「Go To キャンペーン」もそれらと並ぶ愚かでお粗末な政策である。