2020年7月24日。本来なら、新国立競技場に詰めかけた大観衆が見守るなか、聖火台への点火によって「東京五輪の開幕」が告げられるはずだった。だが、新型コロナウイルスの感染拡大で大会の1年延期が決まり、さらには目下、開催都市の東京で感染者が再び急増している。
ある東京2020五輪組織委関係者は、「来夏の東京五輪開催は絶望的ではないか」と悲観的な見方だ。
「森(喜朗)会長をはじめ幹部の前では“中止”は禁句ですが、すでに海外では2024年パリ五輪の開催すら危ぶむ声さえ出ている。来年に東京でやれるはずがない。最終的に中止を決めるのはIOC。“巨大ビジネス”である以上、巨額の放映権料を払う米NBCなどとの折衝は必要だろうが、森会長や安倍晋三首相、橋本聖子五輪相には何の力もない」
気を揉むのが、東京五輪のスポンサー(パートナー)企業約80社だろう。
IOCと直接契約する、トヨタ、パナソニックなど日本企業を含む14社のワールドワイドパートナーを除き、スポンサーは3つにランク分けされる。10億~200億円の協賛金を支払い、大会ロゴを使った広告・宣伝活動をする権利などを得ているが、契約期間は今年12月末までだ。
“協賛金”という名目どおり、大会が中止になっても基本的に返金はされない。むしろ深刻なのは、「追加協賛金問題」だ。明治大学経営学部の大石芳裕教授がいう。
「1年延期しての開催には選手村をはじめ競技施設等の借り上げ料金など数千億円の追加費用がかかる。JOC、政府、都が企業に頭を下げてお金を集めないと開催できないでしょう」