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気象庁発表には注意が必要 正しい「梅雨明け」をどう見極めるか

 このため気象庁は、速報値発表の際「梅雨明けしたとみられる」という曖昧な表現を用いる。しかしその一方で、メディア側はかつて「梅雨明け宣言」という断定的な表現で報じていたこともあったし、今でも「九州南部で梅雨明け」などという報じ方のままだ。

 分かりづらいと感じる人が大半だろう。速報値・確定値と、数値が2つあることもその原因に思える。だが、梅雨が明ける前の7月中旬以降に晴れの日があると、気象庁には観光地などから「梅雨明けはまだか」という問い合わせが殺到するという。今年は新型コロナウイルスの影響で観光地などへの旅行は控えられているが、例年であれば梅雨明けは本格的な観光シーズン開始の合図となるからだ。また、梅雨明け発表後に雨が降った時も、気象庁に苦情が寄せられることもある。社会のニーズと判断の難しさから、速報値と確定値の2つを設けているのだ。

 確実な梅雨明け日が分からなければ、天気予報を参考にするしかない。おすすめは、日本気象協会やウェザーニューズなどの民間気象会社が発表する「週間天気予報」や「10日間天気予報」だ。雨雲の動きなど、発表する気象会社などによって気象庁の予報とは異なることがある。

 必ずしも確実とはいえない梅雨明け発表よりも日本気象協会やウェザーニューズなどの民間気象会社が発表する「週間天気予報」や「10日間天気予報」をお勧めしたい。週の後半など先の予報になると、発表する気象会社などによって気象庁の予報とは異なることがあるからだ。民間気象会社の中には気象庁だけでなく、海外の気象機関の計算結果を利用しているところもある。特に、天気の動きを左右するとも言える上空5500m付近の大気の状態において、欧州中期予報センターの予報精度は最も秀でている。天気予報に違いが出るのはこのためだ。

 とはいえ、毎回の計算結果において、気象庁の予報がいつも負けているわけではない。気象庁の予報を参考にしつつも、各気象会社の予報と比較することで、梅雨明け後の天気の情報は一層充実したものになるだろう。

【プロフィール】たんげ・やすし/気象予報士。日本気象予報士会東京支部長。著書に『気候で読む日本史』(日経ビジネス人文庫)、『気候文明史』(日本経済新聞出版)、他。

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