「母親ならポテトサラダくらい作ったらどうだ」というTwitterの投稿から大きな話題になったポテサラ論争。この「○○なら」という言い方自体が、決めつけや固定観念から生じているとして、批判される一因となっているようだ。それでは、母親ではなく別の属性だったらどうだろうか。例えば「男性なら」──。「男なら当たり前」という価値観を押し付けられることに違和感を覚える人たちの声を集めた。
IT企業でエンジニアをしている30代男性・Aさんは、基本的に「男なら平気でしょ」という具合に、“扱いが雑すぎる”のではないかと振り返る。
「例えば中学・高校と共学に通っていたのですが、更衣室で着替えたことがない。うちの場合、女子が男子更衣室も占領していました(笑)。仕方なく教室で着替えていると、平気で入ってくる女子も多かったんですが、やめて欲しいとは言い出せない感じでした。先生も女子たちも“男は黙ってろ”的な感じで……」(Aさん)
メーカーで営業職に就く20代のBさんは、「男のくせに泣くな」と押し付けられることが理解できないと話す。
「父親から『男なら泣くな』『男ならこれくらい耐えろ』と言われて育てられました。家のなかだけでなく、社会でも、それが当たり前だという見えない圧力がある。泣くという行為は人として共通の感情なのに、理不尽でしかないです」(Bさん)
Bさんの苦悩はまだまだある。社会人になったとき、職場で典型的なパワハラ上司に当たってしまった。
「年上の女性上司から、『男は率先して力仕事する!』『これくらいのことはできないとね。男の子なんだから』と口癖のように言われていました。別に、普通に力仕事とかやりますけど、わざわざ“男は~”って言わなくてもよくないですか? 周囲に相談しても、僕が“男だから”あまり相手にしてくれない印象です。とにかく男は“我慢”を強いられることが多い生き物であることを悟りました」(Bさん)
食事会や飲みなどでは、「男なら女性におごるもの」「多く支払うもの」という価値観にも、疑問を抱いているという。