「揉めるほどの財産がないから、我が家は相続トラブルとは無関係」と考えていないだろうか。「財産が少なくても“争続”になりやすい」と指摘するのは、夢相続代表取締役で相続実務士の曽根恵子氏。
「相続トラブルのうち、遺産額1000万円以下が3割以上を占め、5000万円以下を合わせると全体の約8割に達します(別掲グラフ1参照)」
5000万円以下の遺産であれば、相続人が3人いれば相続税はほとんど発生しないケースが多いが、それでも争いが起きているということだ。
過去20年間で家庭裁判所に持ち込まれる件数が増加している。1998年に1万302件だった新受件数(審判+調停)は、2018年には1万5706件に達した(別掲グラフ2)。前出・曽根氏の解説。
「昔のような家督制度が薄れて個人の権利意識が高まり、誰もが遠慮せず相続の権利を主張するようになりました。加えて経済的な苦境で親の遺産を期待する人が増えたことで、相続トラブルは誰にでも身近なものになっているのです」
実際に相続トラブルが起きるのは、兄弟姉妹間が圧倒的に多い。夢相続を訪れた相談者450人によると、揉めている相手方は「兄弟・姉妹」(67.3%)がダントツとなっている(別掲グラフ5)。