出口:他人に惑わされないというものの1つに腹を立てないというのもありますね。ぼくはすごく気が短くて、職場でも「なんや、この仕事は」とよく部下を叱っていたんです。ところがある日、同期に呼ばれて「お前は本当にアホや」とからかわれました。世の中には賢い人とそうでない人がいる。賢い人は怒らなくてもひとこと言えばわかるから、怒っても無駄やと。一方で賢くない人はいくら怒ってもわからない。要するにどちらも無駄だから、怒ることは100%意味がないんだぞってね(笑い)。(※注:出口さんは日本生命出身で後にライフネット生命を立ち上げる)
坂東:なんてロジカルな説明。
出口:そもそもぼくは「人生明るく楽しく面白く」が信条なんです。部下を持つようになってからずっと言い続けてきました。人生は楽しくないこともあるけれど、その時はアホな冗談でも話して明るく過ごせばいい。学生にもそう伝えて励ましたいですね。ちなみに別府市(大分県)の18~24才の人口は約1万1000人でわれわれAPUの学生が6000人弱。今や市内の若者の2人に1人はAPUの学生です。
坂東:それではどこへ行っても声をかけられるでしょう。街でこっそりお団子を食べたら、翌朝“二皿七銭”と黒板に書かれてしっかり見られていたという『坊っちゃん』の団子事件さながらの環境ですね(笑い)。
出口:学生が話しかけてきて1杯どうですかとなると、毎晩食事に2~3時間かかります。ところが学長の仕事は雑用というと問題ですが…。
坂東:いっぱいあるんですよね。