出口:そこで単身赴任ということもあって自炊を始めたんです。自分で作れば20~30分で済み、帰宅しても「飯、風呂、寝る」で終わることなく、自分の仕事や読書をする余裕が生まれます。カレーや煮付け、すき焼きなどをよく作ります。中華はレトルトの素を使ってパッケージのレシピを参考にしていますが、材料のそぼろ肉をバラ肉に替えてみたらどうだろうか、みりんで甘さを足したらどんな味になるだろうかと、あれこれ遊んでいるうちにおいしくなったりするのでこれが楽しい。作れば「今夜の出口食堂」と名付けてフェイスブックに上げてみたりして。結構、反響もあるんですよ(笑い)。
坂東:料理はクリエイティブな作業ですよ。1回ごとに違いますしね。
出口:実はフェイスブックもツイッターもライフネット生命時代に部下から、今日からやりなさいと強制されて始めたんですよ。まだ銀行や保険会社のトップでは誰ひとりSNSをしていないから、ベンチャーとして差別化になりますと。半ば脅されて始めたら面白くて。「出口食堂ばかりでなく大学のことも書いてください」などと叱られながら今では楽しんでやっています。ぼくは人生で大事なのは好きなことをする時間だと思っています。それには楽しむ心がけが必要なのです。
坂東:何事も「いとをかし」と楽しんで日々を上機嫌に過ごす。好きなものを増やすことは素敵ですね。
【プロフィール】
◆ばんどう・まりこ/昭和女子大学理事長・総長。1946年生まれ。東京大学を卒業後、1969年に総理府に入省。1998年に女性初の総領事(豪州・ブリスベン)に。2001年に内閣府初代男女共同参画局長を務め退官。2004年に昭和女子大学教授、2007年に同大学学長、2014年から理事長、2016年より現職。
◆でぐち・はるあき/立命館アジア太平洋大学(APU)学長。1948年生まれ。京都大学を卒業後、1972年に日本生命保険相互会社に入社。ロンドン現地法人社長などを経て2006年に退職し、同年ネットライフ企画(後のライフネット生命保険)株式会社を設立。社長、会長を10年務めたのち、2018年より現職。
※女性セブン2020年8月20・27日号