「三角州」に注意したい多摩川の河口付近
大田区の多摩川河口付近も見逃せない。河口付近は、上流から運ばれてきた土砂でできた三角形の砂地(三角州)が集合した地盤のため、液状化しやすい。さらに、三角州と三角州の間に流れていた水路を埋め立てて宅地化した場所も混在し、元水路の上の土地はひときわ大きい揺れが生じる恐れがある。
「河口付近は、ほんの数メートル離れただけで地盤条件が大きく変化するため被害の激しさに差が出ると予想されます」(若松さん)
かつて多摩川下流の「六郷橋」から河口までは「六郷川」と呼ばれていた。首都直下地震では東京湾からの直接の津波以上に、津波が河川を遡上する「河川津波」が危険視される。なかでも、六郷橋までの地点は危険とみられている。
巨大地震が起これば、多摩川の河口から六郷橋付近まで津波が遡上する危険があるともいわれている。
貴重な水源が、震災時には猛威をふるうかもしれない。
※参考/東京都建設局「東京の液状化予測図 平成24年度改訂版」、東京都都市整備局「地震に関する地域危険度測定調査」、国土交通省国土地理院デジタル標高地形図、『首都大地震 揺れやすさマップ』(目黒公郎監修/旬報社)、『川の地図辞典 江戸・東京/23区編』(菅原健二著/之潮)
※女性セブン2020年8月20・27日号