不動産投資の一種としてトランクルーム(コンテナ)投資があるが、そこで悪徳業者に引っかかって契約トラブルになった場合、どのように対処すればよいか。トラブルの実例をもとに弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
8か月ほど前に、実家の父のところに業者がやってきて、「コンテナを購入して貸し出せば、毎月のレンタル料が入る。元本は必ず戻る」と勧誘されたそうです。父は迷った挙句、老後の生活費の足しになればと契約。約100万円支払ってコンテナを購入したそうです。その後、業者からはレンタル料として毎月2万円が振り込まれていましたが、3か月前から振り込みがストップ。業者に連絡をしてもつながりません。詐欺だったのかもしれませんが、お金を取り戻すことはできますか。
【回答】
一般の人では、他人にコンテナのレンタルなどできませんし、普通の家ではコンテナの置き場所にも困ります。取引の仕組みは、業者からコンテナを買ってもコンテナはその業者に預けたままにし、業者に直接レンタルするか、もしくは業者が保管したままでレンタル先を紹介したり、仲介をすることで、毎月のレンタル料が収入として入ることを狙った取引だと思います。
こうした運用では、買い主は現物のコンテナを見ないこともありそうです。お父さんの場合のように、連絡も取れなくなった業者が売り主では、そもそも売買目的物のコンテナが実在するかも疑わしいと思います。
お金を取り戻すためには、契約を白紙にする必要があります。100万円を受け取っていながら、半年程度でレンタル料の支払いがとまり、連絡も取れないところからは、最初からお父さんをだました詐欺の疑いが濃厚です。詐欺であれば契約を取り消せますが、詐欺ではだました内容を特定し、業者にだます意思があったことが要件になるので、厳密な証明は簡単ではありません。
しかし、お父さんのコンテナ売買は業者との消費者取引になります。消費者契約法では、消費者が取引する決め手になる重要な事項について業者が事実に反することを言い、消費者がそれを信頼して契約した場合には、不実告知を理由に契約の取り消しができます。
例えば、業者がコンテナを売るときに、コンテナのレンタル市場について事実に反する楽観的見通しや誤った過大な相場を告げて、お父さんがそれなら元が取れると判断して契約したとすれば、不実告知として契約の取り消しができます。