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人口統計で見る日本のリアル 毎年「市」一つ分の人口が消滅していく

日本の人口が減り続ける一方で、東京への一極集中は加速

日本の人口が減り続ける一方で、東京への一極集中は加速

 少子高齢化の進展に伴い日本の人口が減り続けていることについて、知識として知っている人は多いだろう。しかし、日々の生活でそれを実感することはほとんどない。はたしてどれくらいのペースで人口減少が続いているのか。経済に詳しい金融ジャーナリストの鈴木雅光さんが解説する。

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 総務省は8月6日、2019年1月1日から2020年1月1日までの1年間で、日本人の人口が50万5046人も減ったと発表した。2020年の日本人人口の絶対数は1億2427万1318人となった。日本人人口がピークを付けた2009年が1億2707万6183人だったから、この11年間で280万4865人も減ったことになる。

「50万人」という数字は、ちょっとした市の人口と同じである。愛媛県松山市が50万8075人、大阪府東大阪市が49万3418人なので、そのくらいの規模の市が一つ、この1年間で消滅したのと同じインパクトがあったことになる。ちなみに、日本には「市」という行政単位は792あって、このうち人口が50万人を超えている市は35しかない。大多数の市は人口50万人を下回っているのだ。1年で50万人超の減少は、調査が開始された1968年以来最大となる。

 今回は、人口の減少数が初めて50万人を超えたことが話題になっているが、恐らく今後は、年間50万人の人口減少ペースはごく普通の風景になるだろう。なぜなら、高齢者の人口が着実に増えているからだ。

 年齢別に人口のボリュームゾーンを見ると、65~69才、70~74才で一山を作っている。いわゆる「団塊世代」の人々だ。また、その子供世代にあたる40~44才、45~49才、50~54才でもう一山が形成されている。今後、これらの世代が高齢化するにつれて死亡者数が増える一方、出生者数は現状どんどん減っているため、子供を産み育てることが容易な社会にするか、海外からの移民を増やさない限り、日本の人口増は望めない。そういう状況を私たちは生きているのだ。

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