フリーランスで働く30代の女性・Bさんは、自営業ということもあり、もともとスキャナ機能付きの家庭用プリンタ複合機を持っていた。購入して数年が経つが、「いよいよ使えなくなったとしても、次は、複合機はもう買わない」と話す。
「請求書でもなんでも全部データでやりとりをするようになると、プリント機能は月に1度使うかどうかという使用頻度になりました。あまり使っていないと、いざ使おうとしたときに、インクが乾いてしまって、印字されなくなるケースが多発。ヘッドクリーニングをするなどしたら復活するんですが、毎回そんな調子だと、だんだんストレスに……。プリントアウトしたい時はコンビニに行けばいいと思うようになりました。USBメモリかネット経由で、現地ですぐに印刷できますから。
一方で、スキャナは時々使います。税理士さんと通帳や証憑書類のやりとりをすることがあるので。そうしたわけで、次はスキャナだけでいいかな、と思うようになりました」(Bさん)
20代の男性会社員・Cさんは、そもそも家庭用プリンタを持っていない。別に資料をプリントアウトしなくても、PCやスマホで見られれば問題ない、と考えている。そんなCさんは、50代の上司との価値観の違いに驚いている。
「上司はスマホを持っているにも関わらず、外出するときも『地図をプリントしろ』と言うほどのプリントアウト好き。資料を確認するときも、逐一プリントアウトするんです。画面上で見ると見落としがあるからという理由みたいですが……。
在宅勤務が推奨されるようになってからもその傾向は変わらず、自宅のプリンタだと性能が悪くて『両面印刷できない』などの不満があるようで、こっそり出社して職場で出力していたと聞きました。こういう人がいるから電子化が進まないんでしょうね」(Cさん)
かつてはパソコンを買うときはプリンタも一緒に……、と考えていた人も多かったかもしれないが、急速に進むペーパーレスの流れとともに、家庭用プリンタのあり方も変わりつつあるようだ。