遺産の相続トラブルを避けるために大切なのが、時期を誤らずに計画的に手続きをする「タイミング」だ。中でも相続税の申告・納付時期には気をつけたい。
「夢相続」代表で相続実務士の曽根惠子氏が指摘する。
「相続税の申告・納付期限は、相続開始の翌日から10か月以内です。遺言書がなければ、この日までに相続人が話し合い、『遺産分割協議書』を作成する必要があります。話がまとまったら遺産分割協議書の内容に合わせて相続税を申告・納付し、財産の分割、預貯金や株式の名義変更、不動産の登記変更などを行ないます」
遺産分割協議がまとまらない場合でも、10か月以内に相続税の申告をしないと、故意で悪質な場合は脱税に問われる。税理士法人タックス・アイズ代表の五十嵐明彦氏が解説する。
「遺産分割協議がまとまらない場合、期限内に法定割合で相続税の申告・納付を行ないます。これを『未分割の申告』と言い、申告後に改めて遺産分割協議を行ないます」
その後も話がまとまらなければ、家庭裁判所の調停に持ち込まれるケースが多いが、「時間がかかる上、弁護士費用などがかさむため、お勧めできない」と前出・曽根氏が指摘する。
また、遺言書に書かれた内容に偏りがある場合、遺言書を知ってから1年以内なら、法定相続分の2分の1まで遺留分侵害請求ができる。