「例えば『2000円でケーキ食べ放題』があったとします。そうすると、何を食べるかというよりも、何個ケーキを食べられるかっていう数ばかりが気になってしまう。ちゃんと味わって食べられるのって、頑張っても5個くらいまで。しかも3個目、4個目くらいからはそのケーキを食べたいというよりも、元を取らなくちゃ、っていう意識で食べてしまいます。5個食べて、1個あたり400円かかったと計算すると、本当に食べたいものを1個か2個買って、堪能したほうがいい気がして……」(Bさん)
さらにBさんは、家族や友人など複数人で行った場合、こうした食べ放題ならではの「損得勘定」がコミュニケーションの弊害になった経験を明かす。
「誰かと一緒に行くと、会話の途中で食べ物をとりに席を立つことになり、話に集中できません。それに時間制だと、中盤以降に『元を取らなくちゃ』とばかりに、黙々と食べるスタイルになる人もいます。家族で行くと、誰かが食べきれなかった分を“残飯処理”的に食べる役割を強いる、強いられることも。結局元を取っている気もしないし、それを意識することで純粋に食事や会話を楽しめないことが多くて、魅力を感じなくなりました」(Bさん)
そんなBさんは、「食べ放題に対して『勉強代』を払ってきたから、ひとつひとつのメニューを味わうことも学んだ」と話す。年齢とともに「食べ放題離れ」するようになった人たちの中には、その分、大人に成長した、と考えている人もいるようだ。